19直木賞

直木賞

直木賞とは、『南国太平記』などを著し、大衆文芸の世界で活躍した直木三十五氏が、昭和9年2月24日、享年43歳で亡くなりました。
氏と親交の深かった菊池寛は、自らが率いていた文藝春秋社で、直木氏を記念する賞を設けることを画策しました。
当初は、かように直木賞の運営(経営)は、文藝春秋社という民間企業一社が興し、担っていたわけですが、第6回(昭和12年下半期)から、新たに組織された財団法人日本文学振興会が受け継ぎ、現在に至っています。
現在のところ、直木賞が対象とする作家・作品は、どのように定義づけられているのでしょうか。
文藝春秋のホームページを見てみると、こうあります。
「各新聞・雑誌(同人雑誌を含む)あるいは単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品中最も優秀なるものに呈する」「無名・新進・中堅作家が対象となる」
先の「直木三十五賞規定」の「一」と比べてみると、やはり歴史を感じます。
いつの頃から「中堅作家」が対象のなかに加えられたのか、未調査なので何ともいえませんが、最近の授賞傾向を見ても、もはや直木賞を「新人作家の登龍門」と紋切り型で表現するのは誤っていると言うしかありません。
対象となる期間は、創設以来、変遷がありましたが現在は、
上半期……前年12月1日〜5月31日までに公表されたもの。
雑誌、同人雑誌は11月1日〜5月31日まで
下半期……6月1日〜11月30日までに公表されたもの。
雑誌、同人雑誌は5月1日〜10月31日まで
ということになっています。
最終的に直木賞の授賞は、7月と1月に行われる選考委員会において、選考委員たちが討議をして決めます。
しかし彼らが、対象となる期間に発表された全作品を読むわけにはいかないので、選考委員会に先立ち、候補作品が幾作品か選ばれ、それを選考委員会の俎上に乗せることになります。
この候補作品は、どうやって決められるのでしょうか。
文藝春秋の社員が、この選考役に当たるようです。
『オール讀物』編集部員や出版部員、合わせて20名が多数決で決めるといいます。
多数決だから「審査は絶対公平」には違いありませんが、候補作品に、文藝春秋系の作品(文藝春秋が刊行した単行本、『別冊文藝春秋』『オール讀物』に掲載された中・短篇)が自然と多くなるのは、この仕組み上いかんともしがたいところでしょう。
受賞作・候補作一覧を見れば一目瞭然、文藝春秋系の作品が候補作に挙げられなかったのは、平成に入ってから一度もありません。
いちばん最近で、第86回(昭和56年下半期)というから、約20年前です。
新潮社が設けている山本周五郎賞という大衆文芸賞に、かならず新潮社の本が1冊は候補にのぼるのと同じ原理です。